【未来の担い手!】青森の現役高校生にSDGsについて聞いてみた!(3)
学年の壁を超えて、自由に意見を交換しあいます

今回は、私立青森明の星中学・高等学校SDGSチームへのインタビューの第三弾です。チーム内にあるさまざまなプロジェクトに取り組んでいる学生にお話を伺いました。
第一弾・第二弾も公開されているので、読んでいない方は是非ご覧になってください!
(リンク)

【SDGsとは?】
“「SDGs(エスディージーズ)」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標です”
【SDGsの画像】
https://miraimedia.asahi.com/sdgs-description/より引用

 

そんな、世界規模の目標にグローカルな目線で取り組んでいるのが、青森明の星高等学校・中学校の「SDGsチーム」です。

 

【青森明の星高等学校・中学校SDGSチームとは?】
青森県内でのSDGsの啓発を目標に日々活動に取り組んでいるチーム。2018年の発足当時、所属人数は12人だったが、現在では約90人が所属する大チームに成長。最近では、ウェブ会議アプリケーション「ZOOM」を活用し、海外との交流を図るなど、グローバルな活動にも積極的に取り組んでいる。

 

【普段の活動の様子】

学年の壁を超えて、自由に意見を交換しあいます

 

活動のノートを見せてもらいました。思いや指針が書き込められています。

校内にもSDGsチームの活動が掲示されていました。学校全体で取り組んでいる証です。

津軽弁を用いた啓発ポスター。青森らしさが込められています。

 

・工藤さん(高校3年生)
毎週金曜日の放課後に、ペットボトルの分別作業を行う「リサイクル、エコ班」に所属しています。
一見、ゴミの分別は保健委員の役割のように思いますが、ゴミ問題もSDGSにおいて考えなければならない問題です。ペットボトルなどの、いわゆるプラスチックゴミが海洋ゴミとして問題視されているのは最近に限った話ではありません。素材上、プラスチックは滞留期間が長く、ゴミとして長い間海に浮遊しています。そのため、日本から流出した海洋ゴミが他の国の海まで流れ着いてしまうケースも少なくありません。海の豊かさを守るために、SDGS観点からもプラスチックゴミを削減することは大いに重要であることに気づかせてくれました。
工藤さんは「“地球を資源だらけの場所にしよう”という言葉に感銘をうけた。身近なところからエコ活動を行なっていきたい」と話してくれました。チームの誰よりも、地球の資源に対して考え、真摯に活動していることがうかがえました。

「SDGsチーム」公式キャラクターである明日(アース)さんと工藤さん

 

・鎌田さん(高校3年生)
鎌田さんは、チーム内だけでなく、校内でのSDGSの活動を普及させるべく日々活動に勤しんでいます。「学校SDGs改革プロジェクト」の副リーダーの鎌田さんは、「生徒間でのSDGSの認識の差が大きい」のが問題点だと話してくれました。その為には、先生の協力が必要不可欠とのこと。授業では、SDGSに関して勉強する機会があるものの、意識の“差”が生まれてしまいます。「まずは先生にアンケートをとって、先生内でのSDGSの認知度を確認したい。そこからどんな活動ができるかを考えたい」と鎌田さんは話してくれました。SDGSの授業がある現状に満足せず、認知活動の意義や必要性をしっかり考えているのだと感じました。自ら問題を発見し、そこから解決するための筋道を見つけることができているなと感心してしまいました。
また、鎌田さんがSDGSチームに参画するきっかけになったのは、先生からの応援があったからとのこと。「自分はあまり積極的な方ではないけれど、みんなの頑張る姿や先生からの後押しがあって、活動を頑張ろうと思った」と語る鎌田さん。自分のように、活動に参加してみたいけれど勇気が出ない生徒を、今度は自分が引っ張っていく立場になりたいと抱負を語ってくれました。

鎌田さん

 

・川田さん(高校3年生)
川田さんは、MKMHのリーダーとして「インドオンライン日本語講座」に参画しています。インドの孤児院の子供達にオンラインで日本語を教える活動です。インドとカンボジアに手紙を書いたり、日本全国から寄付されたタオルや文房具を寄付したりする支援も行なっているとのこと。「最近は文通も始めました」と笑顔で教えてくれました。「あまり発展途上国に関わることのない生活を送って、自分とは関係がないからと問題から目を背けてしまう人が沢山いる」と、川田さん。発展途上国の問題を身近に感じてもらいたくて、日本と発展途上国を結ぶ活動に取り組んでいます。「寄付やコミュニケーションなどの自分ができることやって、普段は関わることのできない問題に関わりたい。そしてそれをみんなに広めていきたい」と話してくれました。
あまり日本のニュースでは取り上げられない他国の問題は、いざ蓋を開けてみると自分たちでも協力できることが沢山あるのだと感じます。国の問題というのは、その土地の文化や風土、政治が絡みあっており、生半可な気持ちでは決してできない活動だと思います。そこに勇気をだして「自分ができるところを」と、ひたむきに活動する川田さんの言葉を聞いて、こういった若い人がいれば未来は安泰だなと感じました。

川田さん

 

・成田さん(高校2年生)
2019年に発生したオーストラリア森林火災。火災が半年以上続き、多くの土地・人々を失いました。その際に被害を受けたのは、人間だけではありません。自然豊かなオーストラリアに生息するコアラも無論、この森林火災によって被害を受け、生息地の約80%を失いました。成田さんは、現地の学生と協力して、オーストラリアで被害にあったコアラを支援する活動「コアラ救済プロジェクト」に取り組んでいます。校内で「コアラ新聞」を発行し、コアラの現状を伝えています。「今後は、コアラに関する絵本も作成してみたい」と抱負も話してくれました。

掲載されている「コアラ新聞」

 

また、ブレスレットを購入すると、コアラのために現地に木が1本植樹される支援があることを教えてくれました。「コアラ生息地回復ブレスレット」といい、丁寧に作り込まれたデザインが特徴的です。
皆さんに共通することですが、様々な角度から何ができるかを考え、解決したい問題が遠く離れている場所にあってもお構いなしのバイタリティの高さには、思わず圧倒されてしまいました。

「コアラ生息地回復ブレスレット」を見せてくれた成田さん

 

・秋元さん(高校3年生)
SDGSチームには「コンペティション勝者プロジェクト」というものがあります。各々が持ち込んだ企画を先輩方にプレゼンし、トーナメント形式で見事優勝を勝ち取った企画を実際にみんなで取り組むという制度です。秋元さんは、そんなコンペシステムで見事通った企画である、「やさしい日本語計画」というプロジェクトに取り組んでいます。秋元さん曰く、「優しい日本語を使ってみんなにSDGSを知らせる活動」とのこと。
「Leave No One Behind(誰一人取り残さない)」をモットーに、学生では届かない目線にも配慮した啓発活動に取り組んでいます。
「まずは、幼稚園や保育園に向けたSDGSに関する冊子を発行し、小さい子供にも分かるような情報発信を行います。次に、スクールバスにSDGSのポスターを掲示して、色んな年代にSDGSを認知してもらいやすくします。また、学校のクラス単位で取り組んでいるボランティアチームと協力してSDGSの啓発動画を作成します。最後に、飲食店のメニューを英語化し、その裏面にSDGSの情報も掲載してラミネートをします」と生き生きと教えてくれました。スクールバスに掲載することで、SNSでは届かない層にまで情報を届けることができますし、飲食店のメニューに関しても、明の星高校の英語科の力をうまく活用した案だと感じました。自分が持っている手札を最大限に活用し、最大の利を生み出す、高校生でこの案を考える企画力に、もはや感動を覚えました。
それだけでなく、秋元さんのお話の上手さにも感服です。ハキハキと筋道を立てて話してくれました。コンペで勝ち上がったのもこのトーク力が影響しているのかな、と思いました。

「4つのことに取り組みます!」と熱く語ってくれた、秋元さん

 

・ホーン先生
チーム設立当初から、生徒と共に歩んでいるホーン先生。生徒の自主性を大切にしていますが、生徒への熱い支援も怠りません。
これまでSDGSに関する活動に取り組んできて、苦しいと思ったことは一度もないそう。生徒と同じ目線でグローカルな活動に携わり、「自分の学生時代にやりたかったことはこういうことだったのだな」と、気づいたそうです。「毎日が楽しい」と笑顔で語っていただきました。

ホーン先生

 

やまだ
【取材を終えて】
高校生・中学生の学生でありながら、言葉使いや考え方が本当にしっかりしていると感じました。その背景には、ホーン先生の影響があると思いますし、チーム全体がこういった国際的な問題と真摯に向き合っているからこそだと感じました。
真面目に質問に答えてくれる皆さんでしたが、雑談の時や先生とお話しするときは無邪気さが垣間見える部分もありました。おこがましいですが、皆さんの取り組んでいる活動は本当に誇りあることだと思います。私も若い皆さんに負けずに地域のために貢献していこうと、奮い立たせてくれる取材でした。青森明の星高等学校・中学校の皆さん、ありがとうございました!

 

山口さん(左)・照井さん(右)

上段左から對馬さん・福澤さん・豊沢さん
下段左から石村さん・錢谷さん

上段左から秋元さん・工藤さん・藤井さん・久米田さん・鳴海さん
下段左から川田さん・工藤さん・鎌田さん・橋本さん・成田さん

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